数日前、出社すると店長がスタッフを集めて、「実はお客様からクレームの電話があって。誰がどうのということではないから、もし対応したのが自分だと分かっても、言わなくて良いからね。」と前置きして内容を伝えてくれた。
思わず、「あっ、それ対応したのは私です。」と口走ると、「だーかーらー、言わなくて良いからって言ったのに...。」と店長。すぐに思い当たる話だった。
私は一番ベテランのパートなので、店長も他の社員も気を遣ってくれたのだ。しかし、クレームはクレーム。それは事実なのだから受け止めるしかない。
その日は休日で、シフトに入った時点で店内は大変混み合っていた。コロナが本格的に落ち着いてから、売上も良くなり来店客数も増え、万年人手不足のパート先はてんてこまいなのだ。
私はもともとお客様から怒られやすいタイプの店員で、過去にもクレームをいただいたことは何度かあった。今回はかなり久しぶりで、完全に油断していたと思う。
私には苦手なお客様のタイプがあることに今回気が付いた。
「お客として丁寧に接客されたい。高いものを買うから、買い物に悩むのに付き合って、話を聞いてほしい。その時間は一人の店員を独占したい。」というタイプである。
人手不足で休日も限界なくらいの人数でやってる店である。一人のお客様に独占されてしまうと、他の業務がストップしてしまう。ベテランとしては、仕事をうまく回すことを優先したいが、このタイプの人は、こういう対応に不満が募ってしまう。
「これを見せて。次はあっちのも見せて。それからあっちのも。」と、たくさんの商品を見せてほしい、と要求も多く、商品についても色々聞かれて、「そんなことも知らないの?」と突っ込まれた。
そういうお客様に捕まってしまった。
「忙しいみたいだから、今日はいいわ。私はせっかく遠くから車で来たのに。」「申し訳ありません。」と謝ったのだが、クレームの電話では、「申し訳ありません、の一言もなかった。忙しいのは分かるけど、ソワソワしていて心ここにあらずな対応をされた。」という話になっていた。
「それでは、ああいう状況の時にそういうお客様に捕まってしまった場合、どうしたら良いんでしょう?」と、店長に聞いてみた。
「ああ。そういう時は、どんなに仕事が混み合っていても、諦めてそのお客様に丁寧に対応するしかないよね。」と店長。他の社員は、「でも、ちょっと面倒なお客様だったよね。だから、rosaさんの気持ちも分かる。」と言ってくれた。
私のように無愛想でつっけんどんな人間は、時々こうした問題を起こしてしまう。
何年経っても接客業って難しいなー、私に適性はあるのか?と悩む。
クレームというのは心にグサリと突き刺さり、落ち込んでしまう。
「感情労働」というものらしいが、なかなか辛い側面だと思う。