rosa8719の今日もご機嫌

59才で2回目の乳がんに。息子二人は独立し夫と二人暮らし。一日一日をご機嫌に。

ママ・ファクター

また1人パートが辞めることになった。

昨年の秋、私が父の看病に通っていた頃採用されたAさん。中年男性である。中年男性でパートに応募して来たことからしても、いろいろワケありなんだろうなと思っていた。

「気は優しくて力持ち」といった風情のAさんだが、感情の浮き沈みが激しくて、普通に明るく話していたかと思ったらドヨーンと暗くなったり、暗ーい顔で出勤してきたかと思ったら帰る頃には元気になってたり。仕事中はいつもほぼ同じテンションの私にとっては理解し難い感じだった。

「母親が強烈な人で。家の中では他人の悪口ばっかりずっとわめき続けてるんですよ。小学生くらいになって友達が出来て、いろんな家庭に遊びに行くようになって、あれ?全然違うな、と。大人になって友達と遊んでた時に母親から電話が来て。スピーカーにして聞こえるようにしたら、友達みんなドン引きでした。そんな母親なんです。」
「今まで結婚を考えたことも何度かあったんですが、あの母親の世話をすることを考えると相手の女性がかわいそうで。結婚出来なかった。」
「オレは次男なんですが、長男はしばらく失踪してて連絡取れなかったんです。母親を嫌って。だから自分が母親の世話をするしかなくて。連絡してないと、携帯に不在通話が山のようになってるんです。」

大変気性の激しいお母さんのようだった。お父さんは数年前に亡くなったが、その葬式の時に父方の親戚には初めて会った、とのこと。父方の親戚とは何十年も会ってなかったらしい。

Aさんは心療内科に通ってカウンセリングも受けているのだそうだが、母親から電話で呼び出しが来ると、ストレスを抱えつつも実家まで会いに行っていた。そんなに嫌なら行かなくてもいいんじゃないか?いっそのこと大喧嘩でもしちゃえばいいのに、と思うが、それは出来ないらしい。

お母さんとの関係性が根本にあるのかも知れないが、若い頃、勤めていた会社でひどいパワハラを受けトラウマになっているとのこと。さらに、うちの職場に来る前に勤めていた職場では、「あることないこと言われまくって、トコトン人間関係がイヤになったんです!まったく身に覚えがないのに、ある女性と不倫してると言われて。その噂を流されました。」と言っていた。

Aさんはある時から、ものすごく険しい顔で出社して来るようになった。(もしかして出番が私と一緒なのがイヤだとか?)(何か気に障るようなことしちゃったかしら?)と気になったがそうではなかったらしい。

業務上のことで納得行かないことがあり、不満を抱えていた。直属の上司は店長なので、「そんなこと店長に言えばいいのに?店長はちゃんと改善策を考えてくれると思うよ。」といったが頑として受け入れなかった。結局、直接関わりのない他の社員に話し、回り回って店長の耳に入った。

自分よりずっと年若い店長に、業務上とはいえ仕事の指図をされるのも面白くなかったらしい。仕事上は年下でも敬語を使うのに、Aさんは店長にあえてタメ口で話していた。

この度、正社員で雇ってくれる会社が決まり、Aさんはうちの職場を辞めることになった。あるパートさんが「決まって良かったね。四十代で転職するのは大変だと思うけど頑張ってね。」と言うと、「あー、でもすぐ辞めるかも知れない。オレ、人の悪口とか陰口とか大っ嫌いなんですよ!ここは違いますよ。ここはそういうの少ないけど。でも、悪口とか多い所だったら、すぐ辞めます。オレ、そういうの大っ嫌いなんで!」とAさん。

「悪口や陰口がない職場なんてないよ!そんなこと言ってたら働けないよ!人間が集まって働く以上、それはある程度仕方ないことだよ。」と思わず言ってしまった私。人は人に関心があるから。だからいろんなことを言ってしまうのだ。そういうAさんだって実は店長や他の人の悪口を言ってたし。そこには矛盾がある。

やたらと面倒くさいお客様やクレーマーにつかまりやすい私に、「rosaさんって、本当にいつもいつもつかまりますよね。オレはとうとう辞めるまで、そういうのには遭遇しなかったなー。全然なかったなー。」と言ってきたけど。Aさんはそこまで本気出して仕事してなかったからじゃないかな?と私は思うのだ。

お客様対応が素晴らしい先輩たちや新人さんでも、厄介なお客様に怒られてる所を何度も見てきた。「怒られなかった=素晴らしい対応」ってわけではない。

母親との関係性が及ぼす影響力の大きさ。四十代までこじらせてしまうと、本当に取り返しがつかなくなってしまうようだ。

でも私だったら、母親と絶縁して、素晴らしい伴侶を見つけて、頑張って良い家庭を作ろう!と奮起するかな?自分の人生だもん。