rosa8719の今日もご機嫌

59才で2回目の乳がんに。息子二人は独立し夫と二人暮らし。一日一日をご機嫌に。

奇妙な夫婦の話

今住んでいる住宅地に引っ越してきた10年ほど前のことだ。

新しい小学校に慣れるため、息子たちの小学校のPTAで学年委員長を引き受けた私は、他の学年で委員長を引き受けたAさんと親しくなり、会議の後などに一緒にランチに出掛けたりするようになった。

最初の運営委員会(PTA担当の教員や他の委員会の委員長、会長などの役員で構成される)で一人ひとり自己紹介をするのだが、「資格取得の勉強のためにCADの専門学校に通って勉強しています。」という彼女は、みんなから一目置かれる存在になった。

たかが役員の仕事、なのだが、他の人と違うのよ、というムードを醸し出していて、いかにも“デキル女”風。若い頃は、有名なアパレル企業でバリバリ仕事していたらしい。

さてさて、何度か話をするうちに、夫の愚痴で盛り上がるようになった。

彼女は見合い結婚。母親の大学時代の教授が、ダンナ様との縁を取り持ってくれたらしい。当時、彼女は社内恋愛中の素敵な彼氏がいたのだが、彼が母子家庭なのを理由に、母親に大反対されたのだそうだ。

結局、きちんと別れを告げられぬまま、今の旦那様と結婚。しかし、姑のイジメがひどく、旦那様は冷たくて、毎日が辛いことばかり。小学校一年生になる息子さんだけが唯一の慰めなのだとか。

息子さんが生まれたばかりの頃、大好きだった彼氏が彼女の住むマンションを訪ねてきたことがあったそうだ。しかし、彼女はインターホン越しに彼を見ただけで、会うことはしなかったのだそうだ。

「えー、なんで?」と聞くと、「子供が生まれたばかりで、ジャージの上下を着ていて、すっぴんで。とても出られる状態じゃなかったの。」という答えだった。

その後も、旦那様への恨みつらみの話ばかりだったので、「でもさぁ、夫婦なんだし。お互い様だし、仕方ないでしょ?楽しく生きていく方向でやっていかないと。」などという話をしたら、「でも私たち、一度も体の関係もないのよ。夫婦じゃないわ!」と来た。

「ど、どういうこと?息子さんがいるじゃないの?」と聞くと、「あの子は試験管で出来た子。体外受精なんてカンタンよ!不妊で悩んでいる、って言えば、産婦人科でやってくれるわ。旦那も跡取りが欲しかったから、協力してくれた。」という答えで、本当に衝撃だった!!

彼女は、旦那様の家柄や学歴のために結婚した、と自分で言っていた。彼女の母親もまた、歪んだ考え方の持ち主だったようだ。九州の大分出身の彼女 。父親は外に女性を作り、家庭も顧みず、好き勝手なことをやっていた、とか。

しかし、自ら進んで悲劇のヒロインというか、すごくドラマチックに生きてるような気がした。

それからまもなく、旦那様は福岡に転勤になった。

彼女は住んでいた一軒家を売却し、マンションを買った。「これから仕事を始めるつもりなの。息子は一人っ子だから、一軒家だと怖いみたいで。マンションだと一人で留守番できるっていうから。夫は単身赴任よ。」「でもね、あと400万円足りないの。なのに夫は出してくれないの。お前には何もしてもらってないから、って。ひどいと思わない?」などと言っていた。

それから1ヵ月ほど経ったある晩。彼女が電話で怒鳴り込んで来た。

「息子が泣いて帰って来たの!!おまえんちは家のローンが払えなくなって夜逃げするんだろうって言われたって。あなたが言いふらしたんでしょ?」

私は誰にも言ってないのに、いきなり怒鳴りまくる。ついでに、全学年委員長が仕事が出来ないだのなんだの、とキレまくり。豹変ぶりには驚いた。

引越してからの彼女は知らないが、ドラマチックな人はどこにいてもドラマチックに生きてるのだろうな。

野田聖子氏が体外受精に成功」なんてニュースを見て、ちょっと思い出した。