「渡る世間は鬼ばかり」じゃないが、世の中で嫁姑問題に悩む人は非常に多い。
うちの母は、姑・小姑で長いこと大変な苦労を背負った人だった。「あんたは絶対、長男じゃない人と結婚しなさいよ。」と私にいつも言っていた。
優しい父と姉弟とは思えないくらい、超モンスターな伯母たちだったのだ。末っ子長男の嫁は大変なのである。
そんな現実をイヤというほど見て、一緒に経験してきた私なので、結婚が決まった時には、かなりの覚悟をしていた。
しかし、夫が次男で、北海道の帯広と仙台と離れているためもあるだろうが、うちには嫁姑問題といえるようなものがまったくない、のだ。
職場で同僚の話を聞いていると、ほぼ全員がお姑さんと会うのを嫌がっているようである。
「悪い人じゃないんだけどねー。なんか言われるたびに腹が立つ、っていうかー。仕事で忙しい、というのを理由にして、なるべく夫と子供で実家に行くようにしてもらってるわ。」「なんか、気を使っちゃって、頭が痛くなったり、体調が悪くなるの。そのこともチクチクとイヤミを言われるのよー。」などなど。
「うちはお姑さんと仲がいいのよ。」なんて言おうものなら、敵意を感じてしまいそうなので、私は適当に話を合わせてしまう。
うちの姑は、電話のたびに、「孫たちが2人ともとっても良い子に育ったねー。素直だし、真面目だし、優しいし。rosaちゃんが頑張って一生懸命育ててくれたからだ、って、いつもI子(夫の妹)と、ありがたいね、って言ってるのよ。」と、私のことを 褒めてくれるのだ。いやいや、そんなにスゴイことは全然ないのだけど。毎回毎回、褒めまくられてしまう。
私もかなりストレートな方だが、姑はもっとストレート。優しくて思いやりがあるが、裏表はまったくない。言いたいことはとりあえず何でも言う。そんな人から褒められると、やはり嬉しい。
そんな姑に、兄嫁はちょっと不満があるようだ。
夫の兄には娘が2人いて、今はもう結婚してかわいい孫ちゃんたちも生まれ、幸せに暮らしているのだが、中学高校と2人とも、不良の世界に足を踏み入れ、非行にも走った。
その頃、姑が心配していろいろ言ったことが、兄嫁にはトラウマとして深く残ってしまったらしい。
6年前、姑は脳梗塞で倒れ、左半身マヒになった。
それまでは、兄夫婦とは別に一人で暮らしていた姑も、リハビリの辛さからすっかり弱気になり、兄夫婦との同居を熱望し、何度も何度も願い出たそうだ。
しかし、兄嫁はガンとして同居を受け入れず、姑は泣く泣く特養ホームに入居した。
2、3箇所 を転々として、最後には新築で快適な所に決まり、めでたしめでたし、のはずだが、この1件は姑の方にもトラウマとして残ったらしい。
嫁姑は難しい、永遠のテーマだ。
私には息子が2人いるので、将来はほぼ間違いなく姑になるわけだし。良い姑と思ってもらえるかな?