rosa8719の今日もご機嫌

59才で2回目の乳がんに。息子二人は独立し夫と二人暮らし。一日一日をご機嫌に。

「がん放置療法のすすめ」を読んだ・その2

がんを治したい、との一心から、各種のサプリメント、漢方、免疫療法、食事療法等の民間療法に走ってしまうことはよくある。
しかし、それらの検討を始めるときりがない一方、寿命を延ばすという証明がないことは確実なのだそうだ。

〈免疫療法〉について、以下の様な記述があった。
・免疫療法が期待を集めるのは、免疫システムが、がん細胞を「非自己」ないし外敵と認識する可能性があるのではないか、というのが理由。しかし、人にがん腫瘍が出来たということは、免疫システムはそのがん細胞を「非自己」とは認識しなかった証拠。
・がん細胞の遺伝子は、正常細胞の遺伝子と(圧倒的多数が)共通しているので、「非自己」と認識される余地がほとんどない。実際にも、がん幹細胞ががん腫瘤にまで育ったということが、免疫ががんに負けた何よりの証拠である。
・巷に免疫療法の実施機関が乱立し、高額な料金を請求するのは日本特有の現象。欧米で同じ事をしたら非証明医療、詐欺罪に問われる。

〈食事療法〉の危険についても警鐘を鳴らしている。
・痩せすぎてはいけない。コレステロール値を下げてはいけない。
・血中コレステロール値が低い人ほどがんを含めた死亡率が高くなっている(体の抵抗力が落ちるため)。免疫はがんに一度負けているので、免疫以外のがん発育を防止する力が重要。
コレステロールは細胞の壁を作る重要な成分。これが足りなくなると、正常細胞が弱くなって、がん細胞の増大・侵入を助ける。
・食事療法に邁進し、激ヤセしてあっという間に亡くなられた方が二人いた(乳がん胃がん)。
・メタボの入り口程度に体重を抑えながらおいしいものを何でも食べることが重要。

痩せなくていいの?本当に?と、ちょっと喜んだ(笑)。まあ、健康的な程度に、ということだろう。

さてさて、〈後書き〉には、近藤誠氏がなぜ放置療法を思い至ったか、についても書かれてあった。
研修医になった時、がんは積極的に治療するのが当然、と思っていた。助手になり、講師となった時も積極的に治療(強力な抗癌剤治療)をしていた。ところが、抗癌剤の毒性で苦しみ、はっきりと命を縮めてしまった患者も数人経験した。そこから疑問が生じ、臨床データ論文を読み込み分析し、がんの本質・性質までさかのぼって治療の理論を考えたのだそうだ。
「どのようにしたら患者が苦しまず、最も長生きできるだろうか」という視点で考え抜いた結果、がん放置療法に至った、とのこと。

近藤氏は2014年春に定年を迎える予定で、定年後は診療に携わらないと決めているのだそうだ。もともと乳がんは全摘が常識、だった時代に温存手術を導入して定着させた第一人者が近藤氏である。患者たちが自ら行動したことで医学界の常識をも動かした、ということらしい。「がん放置療法」も、もしかしたら大きな動きとなって医学界を変えていくのかも知れない。