rosa8719の今日もご機嫌

59才で2回目の乳がんに。息子二人は独立し夫と二人暮らし。一日一日をご機嫌に。

手術せずに退院、となりました

夫のいる京都の病院に着いたのは12日のお昼頃。
京都は暑かった!今年は仙台も記録的な暑さがまだまだ続いているが、この日の京都は最高気温34℃くらいだった。

病室を訪ねると、意外にも笑顔の夫。前日くらいから肺が膨らみ始め回復してきたらしい。
「主治医も迷ってるらしいんだ。手術しないという選択肢もあり、だって。」と意外なことを言われた。

昼食後、夫と二人で主治医から病状についての説明を受けた。

「今日は遠いところ、わざわざ来ていただいてありがとうございます。ご主人が入院された頃、私はちょうど学会で仙台に行ってたんですよ。スレ違いですね。」と、ドクター。病気について非常にわかりやすく説明してくれた。

夫は11年前に両側の肺の自然気胸で手術をしている。その5年後くらいに一度再発。そして今年は5月から4カ月の間に3度目の再発。これでは仕事にも支障をきたすので、普通であれば手術をした方が良いのだが、それにはリスクがいろいろある、ということ。

「まず、現在の状況ですが、保存加療と言って、胸腔ドレーンで脱気したことで肺が膨らみほぼ回復しています。レントゲンの結果も問題ありません。」

「手術するとなると、何点かリスクがあります。前回手術での癒着があること。右肺なので心臓から太い血管が伸びている所があるのですが、血管に沿って癒着しているところがあり、出血のリスクがあります。胸腔鏡下手術の方が体への負担は少ないが、この状態では70%くらいしか取り切れない。開胸下で残り30%を何とかしたい。そうなると20cmくらい切るので、体への負担も大きいし痛いんですよ〜。短期間で退院するなんて無理です。すぐに転勤も控えているとのことですし、今は手術しない方がいいと思うんですよ。」

「お腹を開いて実際に切ってくれた先生に、後々までずっと診てもらった方が絶対いいと思います。転勤がなかったら、ぜひ私に切らせてもらいたい所ですが、いかんせん、今のこの状況ではね。」

とのことで、転勤後に行く病院に紹介状を書いていただけることになった。呼吸器内科の専門医がたくさんいる大きな病院とのことで、何よりも、このドクターの紹介なら安心して命を預けられる所だろう、という安心感もあった。

救命救急をずっとやってこられたそうで、若いけどバリバリに出来る感じのドクター。ニコっと笑うと笑顔がカワイイのに、医学的な話になると目が鋭くなる。とっても説明が上手でコミュ力もバッチリ。完璧である。

「ガンなんかと比べたら、タチは悪くないんやけど、ややこしい病気なんですわ(笑)。」

「開胸の場合、電気メスとかじゃなくて、ハサミで切って手を入れるんですよ。」

「肺嚢胞ってこれなんですけど、ほら、ここに結構大きめなヤツあるでしょう?多分これが原因。」
と、CT画像を操作しながら教えてくれた。小さな嚢胞はたくさんあるけど、けっこう大きなヤツが右側下部にあった。

「癒着、癒着、いうけど、ご主人のケースが特別ひどいわけではないです。この程度の癒着はまぁ普通にあります。傷口がくっついて固まるのと癒着は同じようなものです。切ったところは組織が固くなりますからね。」

肺のことも意外に知らないことばかり。「細かい血管が張り巡らされていて血が多いんですよ。まぁ、“血のスポンジ”みたいな臓器です。」と教えてくださった。しかも、肺ってベローンとした臓器かと思っていたら、細かくは10コくらいに分かれている(大きくは3コ)のだそうだ。

そんなわけで。
夫の手術は持ち越しとなった。

13日にドレーンを抜き、14日に退院した。ゆっくりと京都の街を二人で散歩して、今日15日帰宅の途に着いた。

いつも転勤の時は、転勤先に行って下見をしてマンションを決めていたのだが、今回ばかりはこんな状況なので、札幌の社員さんにお願いして決めていただいた。入院中に電話やメールを頻繁にやりとりして、なんとか決まった。

通勤時間は徒歩でも15分程度だし、通うことになる大病院も同じ区内。良かった。
「あの時転勤して良かったね。」と後で思えるような未来をこれから作っていけるように、夫を支えてあげたいと思う。

3度目の再発でかなり辛い思いをした夫は、「もしものことがあったらどうしよう・・・とさすがに今回は考えたよ。そういう時のために、銀行の口座とか、暗証番号とか、もろもろの重要事項の引き継ぎもしておいたほうがいいな。」と言い出した。

私も乳癌手術を受ける前にノートに書いて託したっけ。「私なんか、遺言まで書いたわよ。」なんて言ってる人もいた。同じ気持を味わったのかな。

とりあえず、回復して帰って来られて良かった。