大学1年生の次男が、「大学教授って、みんながみんな話が上手で教え方がうまいわけじゃないんだけど、昨日の教授の講義は面白かった。」と話してくれた内容が、なかなか興味深いものだったので載せておく。
教授はまず、「おもいッきりテレビとか、あるある大事典とか、一世を風靡したテレビ番組だけど、あれの内容はほとんどが科学的根拠もなく、大規模な追跡調査や研究もされていないようなものだからね。唯一、NHKのためしてガッテンはまあまあ許せるけれど、不十分な部分もたくさんある。話半分に聞いておいた方が良い。テレビでやってる情報番組の内容を鵜呑みにしてはいけないよ。」という所から話始めたそうだ。
“朝だけバナナダイエット”“ココアダイエット”など、ある特定の食品だけでのダイエットはほとんど胡散臭いと思っていたほうが良い。
「ただし、緑茶の成分であるカテキンについては、科学的に研究されて結果も出ている。カテキンで痩せられるのは本当。カカオが体にいいらしい、というのも本当。」おおっ、そうなのか。
乳がんのことを調べているとよく出てくる“エビデンス”という言葉。科学的根拠に基づく、確かなものなのかどうか、ということが最重要なのだそうだ。
たとえば、がん予防のための食生活指針なら、このあたりが信頼性が高いようだ。
世界がん研究基金によるがん予防の勧告
2007年11月1日、世界がん研究基金とアメリカがん研究協会によって7000以上の研究を根拠に「食べもの、栄養、運動とがん予防」が報告されている。
1.肥満 ゴール:BMIは21-23の範囲に。推薦:標準体重の維持。
2.運動 推薦:毎日少なくとも30分の運動。
3.体重を増やす飲食物 推薦:高エネルギーの食べものや砂糖入り飲料やフルーツジュース、ファーストフードの摂取を制限する。飲料として水や茶や無糖コーヒーが推奨される。
4.植物性食品 ゴール:毎日少なくとも600gの野菜や果物と、少なくとも25グラムの食物繊維を摂取するための精白されていない穀物である全粒穀物と豆を食べる。推奨:毎日400g以上の野菜や果物と、全粒穀物と豆を食べる。精白された穀物などを制限する。トランス脂肪酸は心臓病のリスクとなるが、がんへの関与は知られていない。
5.動物性食品 赤肉(牛・豚・羊)を制限し、加工肉(ハム、ベーコン、サラミ、燻製肉、熟成肉、塩蔵肉)は避ける。赤肉より、鶏肉や魚が推奨される。ゴール:赤肉は週300g以下に。推奨:赤肉は週500g以下に。乳製品は議論があるため推奨していない。
6.アルコール 男性は1日2杯、女性は1日1杯まで。
7.保存、調理 ゴール:塩分摂取量を1日に5g以下に。推奨:塩辛い食べものを避ける。塩分摂取量を1日に6g以下に。カビのある穀物や豆を避ける。
8.サプリメント ゴール:サプリメントなしで栄養が満たせる。推奨:がん予防のためにサプリメントに頼らない。
9.母乳哺育 6か月、母乳哺育をする。これは母親を主に乳がんから、子供を肥満や病気から守る。
10.がん治療後 がん治療を行ったなら、栄養、体重、運動について専門家の指導を受ける。
タバコの煙もがんの主因であると強調している。また、タバコとアルコールは相乗作用で発癌物質となる。
教授は余談としてこんなことも語ったそうだ。
「牛乳が本当に体にいいかどうかは、今、とても盛んに論議されているところで、まだ結論は出ていないんだよ。」
乳がん患者なら興味津々である。ただし、大規模な追跡調査や研究の結果はまだ出ていないとのこと。
「シンプルなことが一番科学的で効果的。」という言葉もあった。
テレビで放送される、番組を作る、ということになると、そこにはいろいろな利害関係が出てくる。利権の犬にはなりたくない!と思うような研究者はあまりテレビには出ないのだそうだ。
一般人は研究論文などに触れる機会もなかなかないので、うかつに過ごしていると、テレビからタレ流される情報を真実だと思い込んでしまう。ダイエットとか、体に良い食品とかが、悪の根源のような気がする。
家庭の不用品でも、ダントツ一位は美容健康器具だろう。エクササイズも次々と新しいものが出てきて、それに飛びつく羽目になる視聴者。
正しいものを見極める目を持ちたいものだ。