遅番パート・アルバイトがゼロという状態に陥った店のために、本部から助っ人社員さんがやって来た。昨日、雑談の最中にその社員さんがポツリとひと言。
「でさ、この機会に早番から遅番に移れるパートさんっていないの?他の店もどこも慢性的な人手不足で、特に遅番がいないんだ。募集掛けても応募もない。他の所では、子供さんが大きくなって手が掛からなくなった、おばちゃんパートさんたちが遅番やってるよ。」
ギクッ。そう来ると思った。
「ここだと、Oさんとrosaさんかな?」
ええ、ええ、そうですとも。息子たちが大学生なのは私達くらい。他は子供さんがまだ小学生や幼児もいるので。それは言われて当然だなぁ、50過ぎのおばちゃんは遅番をやらざるを得ないのかなぁ、などと考えこむ私。その場で軽々しく返事をする気にはなれなかった。Oさんも遅番は嫌だと言っていたし。
早番の私は仕事が終わって帰るのは午後4時半頃である。主婦にはちょうどいい感じの時間帯。週5日、土日祝日もほぼ休まず頑張って来た。平日のみ勤務という契約の人たちもいるので、土日祝日勤務は仕方ないかな、と思ってきたが、さらに遅番で、となると負担は大きい。
遅番は午後2時から8時半頃までの勤務である。それから帰って晩ご飯の支度をして食べて入浴して・・・。なかなか大変。Aさんが急病で倒れたのもそれが原因なのかも知れない。
しばらくの間は出来る人達で交代して遅番をやって行こう、という話にはなっていたのだが、本当は店長は「誰かが遅番に回ればいいのに。」と思っているはずである。
ここで私が引き受けちゃえば、全ては丸く収まるのか?とも思ったが、なんだかとてつもなく、いや〜〜な感じが漂う。自分だけが犠牲になれば、って、息子たちが小学生の頃にPTA本部役員を断りきれずに引き受けて、2年間後悔していたあの感じと似ている。
時給が高いわけでもないのに、働くという点ではみんな平等なはずなのに、私だけが大変なんて、割に合わないんじゃないか?
かといって、「私は何が何でも早番を動きません!遅番なんて絶対に嫌です!」とわがままを貫くのもどうしたものか?この窮状にあって、なんの貢献もせずに、自分のしたいようにするなんて。そこまで早番にこだわるのもなんだかなー、だし。
悩んだ。本当に悩んだ。どっちもなんだかしっくりこない。どうしたらいいんだろう?久しぶりに良く眠れなかった。
朝になって、ふと「こっちもダメ、あっちもダメなら、真ん中で行ってみよう。」という案が浮かんできた。早速、出社して店長に伝えてみた。
「遅番専従は体力的に自信がないので、中番なら出来ます。例えば、12時から6時までとかでしたら、2月のシフトからでも大丈夫です。どうしても人手が足りない時は遅番に入ってもいいです。」
「おっ、そうですか!それは助かる。」と店長。
新しく赴任してきたばかりの店長なので、「実は私は三年前に乳がんをやってまして。抗がん剤の治療も受けているんです。だから、遅番でずっと働くというのは、ちょっと体のことを考えると・・・。」と不安も打ち明けた。「そうでしたか。」と神妙な表情。
抗がん剤もハーセプチンもやって今は元気だが、不規則な生活で夜も働くとなると、やはり再発や転移が心配である。自分の体は結局自分で守るしかない。病気になって辛い苦しい思いをするのは自分なのだ。そこはどうしても譲る気持ちになれなかった。
年明け早々、感染性胃腸炎で苦しんだが、やはり免疫力は普通の人より弱くなってるのかも、と感じた。私が罹った翌々日に罹った社員さんは膀胱がんの経験者で、「いやぁ、今回は苦しかった。救急外来に行きましたよ。三日間、何も食べられなかったです。」と語っていたし。免疫力は落ちているのだ。
パートの仕事より、自分の体の方が大事である。「遅番を誰か・・・」と言われた時は、(土日の忙しい時も必死に働いて頑張って来たのに、さらに遅番で頑張らなきゃいけないのか。)と、塞ぎこんだ。いやいや、やはり体が大事だ。
がんを経験した人間が働くということ。パートだけど、悩むこともいろいろである。