職場での昼休み。大学生バイトT君と話す機会があった。
T君は大学3年生。うちの長男と同い年。穏やかで優しくて性格が良くて好青年である。
「T君はお母さんとケンカしたりしないでしょ?」
「いやー、オレは高校の3年間は母親とほとんど口きいてないです。毎日、『メシ』、『寝る』くらいで。優しすぎてもダメなんすよ。ウザっ!てなるんです。親元を離れて一人暮らしを始めてから、母親と喋るようになりました。有難みがよくわかりました。」
「えーっ、本当に?」
「父親のことは嫌ってたので、高校生の時は父親とも全然口きかなかったんすよ。今は好きです(ニコッ)。」
温厚なT君にしてこんな感じ。男の子は高校生くらいになると家庭では本当に喋らないというものね。うちの息子たちみたいに「お母さん、聞いて聞いて!」というタイプはすっごく珍しいらしい。それが今来たのかな。
「長男とケンカしちゃって、あーでさ、こーでさ。もう、ダンナを通してじゃないと何も言えなくなっちゃったのよ。私とはしばらく連絡取りたくないんだって。今まではダンナのこと避けてたのに。ダンナと仲良くなっちゃって。」
「片方に行っちゃったんすね。それはヤバイ。」
「女の子のことをいろいろ言ったのがいけなかったみたいなの。」
「そうですか。女の子のことって、母親から言われると超・恥ずかしいんですよね。言われたとおりだとわかっていても。だからじゃないかな。大丈夫。もう少し経てば元に戻りますよ。大した事じゃないです。」
T君にそう言ってもらえて安心した。
息子視点の話が聞けたのも、仕事をしていればこそ、である。仕事に限らなくても、年代・性別・立場・環境が違う人の意見をじかに聞くことが出来れば同じ。人の中にいて揉まれることで人間って成長するのだと思う。