rosa8719の今日もご機嫌

59才で2回目の乳がんに。息子二人は独立し夫と二人暮らし。一日一日をご機嫌に。

「ほどよく距離を置きなさい」を読んだ

90歳の現役弁護士・湯川久子さんの「ほどよく距離を置きなさい」を読んだ。

近すぎる糸は、もつれます。多くの人間関係のからまりは、距離が近すぎるがゆえに起きるもの。私はこれまでの六十年余りの弁護士人生で、ありとあらゆる人間関係の「もつれた糸」の交通整理をしてきました。

からまった糸の中にいるかぎりは、ほどくすべが見つかりません。でも、からまった場所から一歩引いて、外からそれを見ることができたら、解決の糸口が見つかります。

九州での女性弁護士第一号、となった湯川さんが、仕事を通して感じた「心の糸のほどき方」のエピソードが満載である。

一万件の離婚相談を通じて実感したことは、多くの場合、「結婚する理由と離婚する理由は同じ」なのだそうだ。たとえば、「引っ張っていってくれて、決断力のある男」が「強引で、頑固で、私になんの権限もない」と悔やんだり、「私の行きたい所に連れて行ってくれて、ロマンティックなプレゼントをくれる男」が「お金にルーズで浮気グセが発覚」など。

「結婚したらあの人は変わってしまって」と相談者の多くの人は言うが、もともとそういう性格だったのに見抜けなかっただけ、という場合が多いのだそうだ。

長所と短所は裏表。なるほどなぁ、と思った。働かない、生活費を入れない、暴言を吐く、暴力を振るう、大酒飲み、浮気をしてる、借金がある、子育てに協力しない、家事を手伝わない、などなど、どうにも我慢出来ない点があるなら仕方ないが、今一度、客観的に見詰めて見ると防げる離婚もあるのだとか。

大酒飲みで暴力を振るう夫が、本気で改心して夫婦関係が改善されたケースもあったそうだ。

弁護士として多くの人と向き合って来た中で、同じ悩みを抱えていても、幸せそうに見える人と、苦しみが滲み出ている人がいるのだそうだ。

その違いは、問題の渦中にあって、そこから抜け出せないでいるのか、問題は人生の中の一部分、と切り離して解決のために向き合っているか、とのこと。俯瞰して自分と問題を見つめることが出来れば、問題解決の糸口は必ず顔を出してくる、と。問題と自分自身の間にも距離を置くこと、なのだと。

親子関係、友人関係、遺産相続問題。人と人の関わりの中で、いろいろな問題に遭遇することは多い。ほどよく距離を置くことの大切さ。面白くて一気に読んでしまった。現実としっかり向き合って来た弁護士さんだからこそ、書けた本だ、と思った。