rosa8719の今日もご機嫌

59才で2回目の乳がんに。息子二人は独立し夫と二人暮らし。一日一日をご機嫌に。

ハーセプチンについて調べてみた

今週から始まるハーセプチン治療について、いろいろ調べていたところ、化学療法全般について詳しく説明されているサイトを見つけた。

どこかの病院で作られたものだと思うが、病院名などの表示は無く、詳しいことは不明。勝手に引用させていただいた。抗がん剤の種類についても詳しく説明されていて、とてもわかりやすい。

サイトはこちら

5.Trastuzumab トラスツズマブ(商品名:ハーセプチン
この薬剤の正式名称である「トラスツズマブ」は発音しにくいので、以下は商品名の「ハーセプチン」で統一させて頂きます。

2006年10月、早期乳癌初期治療における新たなリスクカテゴリーに関する勧告が緊急に発表されました。 これは、2005年にASCO(米国臨床腫瘍学会)、12月のサンアントニオ乳がんシンポジウムにて、「HER2過剰発現(=強陽性)を有する乳癌症例では、ハーセプチンを1年間受けると再発リスクを50%に減少させることができる」との衝撃的な結果が発表されたことを受けています。この時は経過観察の期間が短いため、2群間のOS(Overall Survival:全生存期間、全生存率)に統計的な有意差があるか否かを明らかにすることはできませんでしたが、その翌年、同じASCOにて「2年間のフォローアップにてOS(Overall Survival:全生存期間、全生存率)でも有意差が出た」との報告がなされました。
早期乳癌の初期治療に関する勧告は、通常ならザンクトガレン・カンファレンスまで持ち越すのですが、ハーセプチンの有効性があまりに顕著だったために、その前に「新たなリスクカテゴリーに関する勧告」が発表となったのです。
それらの関係論文を以下に記します。

(関係論文については省略)


その翌年行われたザンクトガレン2007でも、ハーセプチンは当然、術後補助化学療法の標準治療として正式に認知されました(腋窩リンパ節転移を認めず、腫瘍の大きさが1cm未満、そして特に内分泌反応陽性の患者さんでの使用は、まだ標準的治療とはみなされていません)。

ハーセプチンは、我が国では長らく『再発症例』以外は保険適応が通っていませんでしたが、2008年春に『術後補助化学療法としてのハーセプチン使用』が保険適応となりました。それを受け当院でも、HER2の過剰発現症例=強陽性症例では、術後補助化学療法としてHERAモデルと呼ばれる逐次投与法(化学療法終了後にハーセプチンを投与)を開始しました。

ハーセプチンは乳癌の約20%に過剰発現している癌遺伝子産物HER2受容体をターゲットに開発されたモノクローナル抗体です。 というと何か難しい話しになりますが、簡単に説明しますと、「癌細胞の表面に増殖に必要な物質を取り込むための手(受容体)、通称:HER-2タンパクを持っている乳癌がおり、この手を持っている癌細胞は、がん細胞の増殖が活発である。ハーセプチンはHER-2タンパクの働きを抑えることにより、増殖に必要な物質を取り込めないようにし、がん細胞の増殖を抑えたり死滅させる。」と考えられています。

しかしハーセプチンは乳癌症例ならば誰でも使用できるというわけではありません。HER-2受容体の多さによって効き目が変わるため、HER-2受容体の数、つまり発現の程度を次の4段階に評価し(0=陰性、1+、2+、3+=強陽性)、強陽性の症例のみが、その適応となります。HER2 2+の場合はFish法の検査を追加し、Fish法陽性の場合はハーセプチンが適応と判断されます。

従来の抗癌剤は、癌細胞だけでなく正常細胞にも作用していましたが、ハーセプチンは癌細胞だけを攻撃しますので副作用も少ないとされています。
しかし心毒性(心不全不整脈心筋梗塞など)が重大な副作用として報告されており、特にアンスラサイクリン系薬剤との併用により(アンスラサイクリン系薬剤の量が350mg/m2を超えると頻度が上昇すると報告されています)心毒性も強まります。
併用にあたっては、心毒性の評価が必須であり、定期的に左心室駆出率を測定し、心機能を観察します。また本剤投与中又は投与開始後24時間以内にInfusion reaction (症状:発熱、悪寒、嘔気、嘔吐、疼痛、頭痛、咳、めまい、発疹、無力症等)が約40%の患者さんに報告されています。
これらの症状は、通常軽度〜中等度で主に本剤の初回投与時にあらわれやすいとされており、患者さんの状態を十分に観察し異常が認められた場合には、適切な処置(解熱鎮痛剤、抗ヒスタミン剤の投与等)を行うとともに症状が回復するまで患者の状態を十分に観察することが必要とされています。当科ではInfusion reactionの対策として、初回は入院加療、2回目から外来化学療法室での加療、の方針としています。 

術後補助化学療法としては、2009ザンクトガレン・カンファレンスでは、HERAモデルと呼ばれる逐次投与法(化学療法終了後にハーセプチンを投与)、同時投与法(化学療法とハーセプチンを同時に投与)は、「どちらもありうる選択である」として、両者のどちらを選択するかという投票は行われませんでした。
再発症例では、1週間に1回静脈点滴するのが標準的な治療法とされていますが、タキソール、ドセタキセルとの併用で効果がより上がることも報告されており、併用療法で施行されることが多いです。

なお現時点では、ホルモン受容体&HER2陽性の乳癌に対し、内分泌療法と抗HER2療法を同時に行うべきか、内分泌療法が抵抗性となった段階で抗HER2療法を行う(あるいは追加する)べきかに関しては、まだ結論が出ていません。また抗HER2療法などを用いた増殖因子シグナル伝達の阻害により、内分泌療法抵抗性発生の遅延や克服が可能ではないかとの基礎研究結果が報告されており、この仮説が臨床応用が可能かどうかを検証するために多くの臨床試験が行われています。

2008年2月28日に術後補助療法として保険適応となったハーセプチン。この治療が受けられるということは、非常にラッキーなことだと思う。
効いてほしい〜。効いてくれるといいなぁ。