「これからはサンデー毎日だ。」
定年退職した父は、楽しそうに周囲に言いふらしていた。
定年退職して濡れ落ち葉状態になる人も多いと言うので、気に掛けて声を掛けてくれる人には、「大丈夫だ。晴耕雨読。田んぼで米も作ってるし、家庭菜園も楽しんでるし、なかなか忙しいよ。」と答えていた。
もう一つ、名言だなと思ったのが、「人は組織の中にいると不満が多くなるが、組織を離れると不安が大きくなるものらしい。」という言葉。どこかで聞きかじったものらしい。うまいなぁ！と感心したので、28年くらい経った今でも鮮明に覚えていた。
うちの夫が、7月末での定年再雇用退職の日を目前にして、今まさにそんな状態にいる。自分の後釜となる派遣社員に仕事の引き継ぎも始まり、いよいよ居心地も悪くなってきた様子。
少し前までは、「早く退職したいな〜。辞めたらやりたいことがいっぱいある。ああ、何から始めようか〜。」と上機嫌だったのに。「社会とのつながりが切れてしまう。どうしよう。人と会うことも無くなるんだなぁ。」と、だんだん不安な気持ちが大きくなってきたようだ。
(自宅にずっといても、顔を合わせるのは古女房だけ。息子たちは東京で仕事に忙しく、親のことなど見向きもしないだろう。若いうちに故郷を離れてしまったから、長い付き合いの友人も親戚もいない。兄妹も遠く離れている。妻が亡くなったら、自分1人で孤独に生きていくしかない。どうしよう⁉︎)と思ったらしい。
どうしよう、と言ったところで、みんなそんなものじゃないのかな。私だって1人になるし。地元に残った組は、逆に若い頃はみんな出て行って寂しかったかも知れないし。なーんて考えていたら、つまんなーい事で八つ当たりされてケンカになった。少し前までは平和だったのに。
今日はようやく青空になったけど。グズグズな天気でグズグズな気分だった。
