藤森かよこさんの「馬鹿ブス貧乏で生きるしかないあなたに愛をこめて書いたので読んでください。」を読んだ。
のっけから「本書の著者は低スペック女子の成れの果てである。」と来た。ご自分を「馬鹿でブスで貧乏」と紹介するものの、実は「そんな事ないじゃん!」という経歴の方である。
「低スペック女子向けの自己啓発本がない。」「誰も書かないなら私が書こう。しかも老後対策も必要。」というわけで出版に至ったらしい。
私は現在57歳。漠然と周囲を見回しながら馬鹿でブスで貧乏で生きて来たが、この本に書かれているような事を、もっと若い時に知っていたなら・・・と思うような所がたくさんあった。
この本は三部構成になっている。「苦闘青春期(三七歳まで)」「過労消耗中年期(六五歳まで)」「匍匐前進老年期(死ぬまで)」、私にとっては中年期が一番面白かった。
青春期。「若い女性は人間嫌いなくらいが妥当」とある。
根拠もデータもないが著者の観察によると、「まともな男は50人中14人しかいない」そうだ。50人の男にひとりは人格障害者でありサイコパス。ふたりは痴漢。三人は暴力男。四人はアル中。五人はストーカー。六人には虚言癖がある。七人は病的に怠惰なダメンズ。八人は強烈馬鹿母親系マザコン。
なので、36人に関わらないように用心しろ、というわけである。
中年期。「しのごの言わずに賃金労働に勤しむ」「更年期は自己の転換変換上昇を模索する時期」「おばさんよ大志を抱け」とある。
更年期について正面から向き合って、これだけの事を書かれてることに敬意を表したい。
「老年期に入る前に、存分に空っぽになるまで自分を使い尽くせ。」と書かれている。女性は本来、子供を15人くらいは産んで育てるエネルギーを持っていた。だから現代女性の生き方をすると、エネルギーが余る。発散され切らず燃やし尽くされないと、沈滞したエネルギーが、あなたを内部から攻撃するかも知れない、と。女性は生命力、エネルギーが強いのだ。
「依存症について」という章が面白かった。
みんな、何かの依存症。ストレス解消のためには、安全弁になる「プチ依存症」が必要。抑圧された生命力のささやかな出口を持つことは大事なことらしい。依存症は自己治癒活動。依存症が文化を作って来た。なるほどな〜。
「女性には三人の男性が必要?」という章は興味津々に読んだ。
ひとりは、生活を共に構築していくパートナー。運命共同体を形成し維持する仲間。
もうひとりは、発情期の間のあなたの性欲を満たしてくれる相手。
もうひとりは、知的に刺激を与えてくれる相手。
この三人が同一人物の中に実現していれば、もっとも好都合で理想的。しかし、おそらくそういう事例は稀だと思う、と。
この辺り、結構突っ込んだことが書かれていて、なかなか聞くに聞けないことだらけで面白かった。中年期のこういう問題について、実はみんなが知りたいことだと思う。
情報を知ること、読書をすることの大切さもひしひしと伝わって来る。おすすめ本もかなり紹介されていて、「学び続けることが大切」と力説されている。
老年期の高齢者施設のことなど、確かにまだまだ知らないことだらけだった。まさに、ミステリーゾーン。
「馬鹿ブス貧乏はミステリーゾーンを進むのは慣れてる。」そうなので大丈夫。
痛快、爽快なまま読み進んでしまったので、もう一度じっくりと読んでみたいと思う。