3カ月ぶりに美容室に行って来た。
猛暑の中、髪の毛が伸び過ぎて、どうにも手に負えなくなってしまった。
私の場合、一定の長さを超えると外ハネしてしまうのだ。外ハネするようにカットしてる訳ではないのに。なかなか厄介でイライラしていた。
この一年半ほど、激安の美容室に通っていた。シャンプーなしでカットのみだと1600円。主婦に大人気でいつも混んでる。予約なしで通えるという気楽さもあるのだろう。
最初に当たった美容師さんは、私の髪の毛のクセを理解して上手にカットしてくれたが、その後が不満足の連続だった。相性が悪かったのか。
まぁ、髪の毛なんてどうせ伸びるものだし、ササっとカットしてもらえばそれで良いか、と思っていた。
しかし、髪型が決まらないと、何だかつまらない。特にコロナのこのご時世である。せめて髪の毛くらいは綺麗にカットしてもらって、スッキリした気分で過ごしたいよなぁ、と思い、今回はじっくりと念を入れて近所の美容室を探してみた。
ようやく見つけた美容室は、初めてのお客様優待のサービス価格と、クーポンがあった。休みの日に空きがあったので即予約して、今日行って来たのだ。
お店の雰囲気もスタッフの感じもとても良かった。シャンプーも丁寧、マッサージもしてくれて極楽である。担当の美容師さんの接客も落ち着いていて上品だった。
「ショートボブと一言に言ってもいろんなバリエーションがあります。どんな雰囲気がご希望ですか?」と雑誌をみながら丁寧に聞いてくれて、カットしながらの世間話も心地よく、ブローの際の工夫の仕方も教えてくれて、非常に満足して帰って来た。
自分のことを丁寧に扱ってもらえたのが嬉しかった。
「これからはケチケチしないで、その道のプロの技にはちゃんとお金を出そう。」と思った。毎日アクセク働いて貯めたお金は、本当に価値のある所には使うべきだ、と。
元々は気に入って通っていた美容室があったのに、担当の美容師さんが独立してしまい、店ごと理容室に変わってしまったのだ。という訳で、美容室を探すことになる。
自分と相性の良い美容師さんを探すのも、なかなか大変なことである。
☆ ☆ ☆
私が生まれ育った家は、隣が床屋(理容室)だった。父の従姉妹が理容師で、昼ごはん時には家でお弁当を食べていた。なので、床屋という場所は特別な懐かしさを感じる場所でもある。
親戚なので、私の家族はそのT子さんに無料で髪をカットしてもらったり、顔剃りをしてもらったりしていた。(理容室の土地を貸していたので)
中学生になった頃、オシャレに目覚め始めた田舎娘の私は、ある日気づいてしまった。
(T子さんって、カットが下手なんじゃないの?私が垢抜けない田舎者なのは、この髪型のせいもある。)と。
自分の周りの友人たちから評判などを聞いて回って、親にも言わずに町の中で一番繁盛していた美容室でカットしてもらって、満足して帰った。今から思うと、すごく残酷なことをしてしまったな、と思う。
T子さんは面白くなかっただろうし、母も気を遣ったりして、微妙な空気が流れていたらしい。それ以来、私は美容室でカットしてもらうようになったのだ。
上手な人にカットしてもらうと全然違うのだ。あれは生まれ持った才能なのか、努力の賜物なのか。
そんなT子さんは、うちの弟が亡くなった数ヵ月後に亡くなった。小さな頃、床屋に入り浸って遊んでいた私。懐かしい思い出である。