乳がん術後9年半の検診に行って来た。
新型コロナウィルス の影響でバスは空いていて、予定より早く到着。
病院入り口前にテントが張られ、コロナウィルス 関連の問診と体温測定をしてから受付へ行くようになっていた。
待合室もガラガラで、ほとんど待つことなく診察室へ呼ばれた。
「どこかお変わりありませんか?検査結果も何も問題ないですよ。はい、では大丈夫ですね。次回の検診の予約をとりましょうか。」と、いつもの調子で終了するのかと思いきや・・・。
「実はね。遺伝性乳がんに詳しい先生がいて、この機会に患者さんのカルテを全て見直そう、ということになって。ちょっと、引っ掛かったんですよ。」と主治医。
ギョギョギョ!(さかな君か)
そういえば、遺伝性乳がんについての問診票を書いた事があった。1年半前の事だ。何も連絡がなかったので、大丈夫なのだろうと思っていた。
「伯母さんと従姉妹(伯母の娘)さんが乳がんだったんですね。」
「そうです。でも、伯母なんで。それほど関係ないのかな、と思ってました。」
「いやいやいや。父方に二人、って事ですよね。それは結構怪しい。父方から来てる可能性があります。」
「えーっ、そうなんですか!」
驚きである。しかし、うちの場合、父も母も亡くなっている。うろ覚えで詳しい事など何もわからない。どういう状況だったのか。伯母は昭和2年生まれ。生きていれば93才。
「それでですね。もしご希望であれば、遺伝カウンセリングというのが受けられるんですよ。専門の方のお話を聞いていただいて。それで遺伝子検査というのが、この場合は保険の適応になるので。その先の治療というのが広がっていて、例えば、予防的に乳房の全切除とか、卵巣の切除とかが出来るようになってるんです。」と主治医。
心の中で(アンジェリーナ・ジョリーか!)とツッコミを入れる私。遺伝カウンセリング、お話を聞くだけで8,500円くらい掛かるとのことだが、予約を入れてしまった。
遺伝子検査かぁー。それってどうなんだろう???突然の展開に頭の中でグルグル考える。
「それは結構怪しい」という主治医の言葉が駆け巡る。「真の犯人を捕まえたぜ!」というのは気分良いと思うが、乳房を切除したり卵巣を切除したり。予防的にそこまで必要なものなのかどうか。
癌の予防を一生懸命やってても、今回のコロナウィルス のように、予期せぬことで命を落とすような事もあるし、違う病気に罹る事もあるかも知れない。
30年くらい前に亡くなった伯母さんの乳がんも、その娘の乳がんも、直接目の当たりにしてない話で、自分にとっては遠い遠い昔のことなのに。
父方で生き残ってる伯母は一人だけ。従兄弟に聞いてもどれだけの情報が得られるかわからない。
「遺伝子検査」って、知りたいけど怖い気もする。遺伝カウンセリングの予約は6月なので、それまでじっくり考えてみようと思う。
☆ ☆ ☆
乳がん経験者の伯母には娘(乳がんで死亡)と息子がいる。その息子のお嫁さんTさんなら、伯母の乳がんのことも知ってるかも、と思い、LINEで連絡してみた。すると、すぐに電話をくれて、親身になって話を聞いてくれた。
「義母さんからお茶飲み話でいろいろ聞いてたよ。乳がんになったのは30代の頃で、片方の乳房全摘してた。でも、単発で完治したって。医者が後になって、あれは取る必要ないくらいのものだった、と言ってたって。その後、50代で腎臓がんになって手術したんだけど、乳がんの転移とかではない、とハッキリ言われたそう。」
「娘の方は40代くらいからしこりに気づいてたのに、かなり長いこと放置していたみたい。その後、ご主人が亡くなって再婚して。だから手遅れになってしまったのかも。まあ、遺伝と言われればそうなんでしょうけど。」
「遺伝子カウンセリングかぁ。うわぁ、聞いたら聞いたで心配になりそうだね。うーん、私ならどうするかな。私なら受けないし、検査もしないかな(笑)。」
Tさんと話してちょっと気楽になった。検査のための通院もしてるし、今の所再発もしていない。そこまで、予防のために突き進むべきなのか。
知らなかったからといって、だからどうした、ということでもない。
電話してるタイミングで夫からもLINEが来た。
「発癌は遺伝的要因が大きいから、それは当然と思いますが、再発の所見がなければ問題ないと思います。」
やはり、そう来たか。そうだよね。