28日、NHKの朝ドラ「スカーレット」が最終回を迎えた。
半年間、朝8時になるとテレビの前に座って、一緒に泣いたり笑ったり。最初から最後まで見続けた朝ドラは「スカーレット」が初めてだ。
一体何が私の心を捉えて離さなかったのか。
最終回がどんな展開になるのか、自分なりに勝手に思い描いていたのは、
・白血病の武志に適合するドナーが見つかり、奇跡的に回復する
とか、
・武志は残念ながら亡くなってしまうが、泣き暮らしてる喜美子に「もう一度夫婦になろう」と、八郎が優しく寄り添う
とか、よくありがちなドラマチックな展開だ。
しかし、実際のドラマはそんな視聴者のベタな予想などはスルリとかわして、極々普通に自然に展開させて行く。
武志の死も、「ナレ死」というらしいが、ナレーションのみで語られただけだった。
「武志は26歳の誕生日を前にして旅立ちました」
えええーーーっ、うそ〜〜!と、私なんかテレビの前で叫んだわ。
(画像お借りしました)
思えば、喜美子の母マツも、喫茶店サニーで談笑中に眠るように亡くなり、その後仏壇に飾られた写真のアップ、という表現だったように思う。数年経ってから、別れた八郎さんが仏壇にお参りしに来た、という場面があったな。
日常が淡々と流れて行って、ことさら「死」というものを大袈裟にとらえる事もなかった。
出会いも別れもあるけれど、自分を信じて歩いて行く喜美子を描きたかったのかな。
いろいろとリンクする場面も多かった。八郎が名古屋の会社を辞めて長崎で修業することになり、喜美子に伝えに来たシーン。縁側でみかんを食べながら武志の思い出話をして、「また話しような。」と語り合うシーン。
そうだ。八郎さんはいつだって「話しよう。」という人だった。夫婦としてやり直そうとかなんとか言わないけれど、「修業辛くて、すぐ辞めて帰って来るかもしれん。」という八郎に、「帰ってくんな。」という喜美子。喜美子のところが帰る場所になってるという、漂う安心感。
水橋文美江さんの脚本の素晴らしさはもちろんのこと、照明、音楽、セットやお料理まで、本当に丁寧に丁寧に作られたドラマだなぁと感じた。
全然飾り気のない喜美子を、戸田恵梨香さんが演じ切った、というのもすごい。
半年間、良いものを見せてもらって、本当にありがとうございました。