rosa8719の今日もご機嫌

59才で2回目の乳がんに。息子二人は独立し夫と二人暮らし。一日一日をご機嫌に。

心の居場所

今回の父のことで周囲の人達からよく言われたのは「rosaちゃん、仕事辞めてこっちに来て、お父さんと一緒に住んで面倒見てあげたら?それが一番いいと思うよ。」ということ。移住のススメである。

「やっぱり最後は娘なのよ。娘にかなうものはないわ。」「娘が側に居てくれれば、お父さんもとっても安心するよ。」

確かにそうである。しかし、諸々の事情を考えると、なかなかそれは現実的ではない。こちらの生活をすべて放り出して、というのは難しいと思う。それを伝えて理解してくれる人もいるが、(自分だったら絶対そうするのに)と思うような人には理解してもらえない。

「こんな時、弟くんが生きていてくれたらね。お父さんも一人じゃないから心強かったでしょうに。」と一年前に突然死した弟のことを引き合いに出す人もいたが、弟が生きていたら今よりずっと大変な事態に陥っていたことは確実だ。

父と弟はもたれかかって生きて来たので、最愛の父が末期の癌で助からないなんて、弟はきっとショック過ぎてどうにかなってしまったかも。父のことだけでなく、弟のことまでケアしなければならなかっただろう。周囲の人というのは、そういう事情までは想像できないものなんだろうな、と思った。

「テレビでよく“神の手を持つ医師”“スーパードクター”とか特集してるでしょ?あちこちに転移した末期の癌だって治せるんじゃない?ネットで探して連れて行ってあげたら?諦めるのはまだ早いよ。」とも言われた。しかし、現実的にはどうやって?テレビで取り上げられた医師なんて、診てもらいたい人が殺到していて大変なことになっているだろう。

私はパートの仕事を辞めずに、出来る限り父のもとに通うことに決めた。緩和ケアの病院にも面談予約を入れた。しかし、ここでもまた。。。

「本当にそれでいいの?お父さん、まだ緩和ケアとかいう状態ではないと思うよ。早過ぎるよ。あそこは本当に終末期の人が行く所だよ。お父さんがかわいそうじゃない?」と言われて心がグラグラ。

早過ぎるのだろうか?早め早めに準備して予約していた方が安心なのだろうか?悩みは尽きなかった。

親戚との電話のやりとりを何度かハタで聞いていた夫が怒っていた。「まったく、みんな勝手なことを言ってくるもんだな。rosaは一生懸命よくやってるよ!すごく頑張ってるよ!いろいろ言われても気にしなくていいよ。」とプリプリ。出来るだけのことはしよう、と思っているのだが、周囲から見たら全然足りないように思えるんだろうな。

「お父さんがかわいそう」と言われるのが一番辛かった。そんな風に言われれば、父も「オレってかわいそうなのか。」と思ってしまうだろうし。

情が深過ぎても共倒れになってしまいそうだし、情に溺れて体調を崩してしまったら、今度は父の所に通うのも難しくなってしまう。ちょっとだけ冷静に客観的に考えて行動しないと、ニッチもサッチも行かなくなってしまうのではないだろうか?

他人の家の介護のことをなんだかんだと批判する人は多いが、その家ごとに事情もあり、そうそう簡単な問題ではないのだと思う。私は今回のことで、(これから先、他所様の家庭のことには偉そうに口出ししないことにしよう)と心に決めた。大変な苦労を経験した人ほど、余計な口出しはしなくなるだろうな、と思った。

「大変だと思うけど、自分の体も大事にしてね。」と声を掛けてもらうと、救われた気がした。

自宅に戻り職場に戻り、父には申し訳ないけど、ちょっとホッとする時間。心がかなり疲れていたんだな、と思った。あさってからまた父の病院に行く。11月はパートのシフトは普通にこなしながら病院通いを続けようと思う。