rosa8719の今日もご機嫌

59才で2回目の乳がんに。息子二人は独立し夫と二人暮らし。一日一日をご機嫌に。

父の望む緩和ケアへ

私が帰る前日、なぜか38度の熱を出した父。入院以来、点滴のルート確保のため血管に入れられていたカテーテルが抜かれ、反対側の腕に抗生剤の点滴をされていた。それがよく効いたらしく熱も下がり、呼吸の苦しさも軽減されたとのこと。

カテーテルが抜かれたってことは、もう抗がん剤やらなくていいってことだろ?」と電話口の父の声は弾んでいた。

少しホッとしたのか食欲が出てきたらしく、いとこのAちゃんからは「ざるそばとかおはぎとかアボカドとかりんごとか。いろいろ食べてるよ。」と報告があり、「おじちゃんの様子見てると、緩和ケアなんてまだまだ早いんじゃないか?と思えるよ。介護サービスとか受けながら1人で頑張れそうな気もするんだけど。」と言われ、悩んだ。

緩和ケアについては、私も乳がん手術で入院した際に看護師さんから説明された経験がある。「今は治療の最初の段階から、早期のガンであっても緩和ケアしながら、というのが主流になっているんです。ガンの痛みやつらさには対処出来ますから、遠慮無く言ってください。」とのことだった。

抗がん剤などの治療をやめた場合、他に有効な治療法がなければ本人が望めば緩和ケアを選択しても良いのではないか?

いとこのKさんが知り合いの医師に父のことを相談してくれた。「それはかなり厳しい状況ですね。抗がん剤をやらなかったら、わりと早く命を落としていたかも知れない。抗がん剤の効果があったとしても数カ月。2回めまでやって副作用が強く出ていて苦しんでいるのなら、3回目やらないという選択肢もありだと思います。今から家族の人が緩和ケアとかホスピスの予約をして準備しておいた方がいいかも知れません。」と言われたそうだ。

一晩眠れなくて泣いた。しかし、この言葉が私の背中を押してくれた。

昨日の朝、ホスピス病棟のある地元の病院へ電話して相談した。とても人気のある病院で「一年待ち」もザラだと聞いていた。予約して待っている間に亡くなる方も大勢いる、という噂である。

「今なら1ヵ月未満くらいでだいたい大丈夫ですよ。3、4週くらいお待ちいただければ。」という係の方のお話に救われる思いがした。そんなに大きな病院ではないので無理だろうな、と思っていたのだ。

完全予約制でまずは外来受診。これは家族だけでもOKとのことで、さっそく予約した。その際、主治医からの紹介状と保険証を持っていかねばならない。

父の病院の主治医に電話してお願いした。「患者さんご本人の了承は得られてますか?ご家族だけでこんな話を進めてはダメでしょう。ご本人が了承されてるのであれば、私どもも協力させていただきます。紹介状をお書きしますよ。」とのこと。慌てて父に電話したものの、なぜかなかなか出てくれず。時間をおいて5回かけてようやくつながった。

父は「いや、オレは家に帰りたい。1人で生活出来るから大丈夫だ。」と言っていたが、今の状態からして一人暮らしなんて絶対無理なので、「買い物とかどうするの?これから雪も降るし、雪かきだって大変だよ。緩和ケアは少し早いのかも知れないけど、私としては病院に入っていてもらった方が安心だよ。1人の時に具合が悪くなったらどうするの?ホスピスだったら私も泊まれるし、家に帰りたい時にはいつでも連れて行ってあげるよ。」と切々と訴えた。父も「そうだな。それがいいかな。」と納得してくれた。

主治医に電話して紹介状をお願いした。いとこのAちゃんがいる時に病室に来てくれて、父本人に確認していたとのこと。紹介状は後日、いとこのMさんが受取りに行ってくれることになった。しかも、予約した日にホスピスにも一緒に行ってくれるとのこと。本当にいとこたちにはお世話になってばかりである。

ようやく方向性が定まってきた。なのに、なぜかまた泣けてくる。命の問題って、どっちに転んでも何を選択しても、結局泣けてくることなんだなぁと思った。