rosa8719の今日もご機嫌

59才で2回目の乳がんに。息子二人は独立し夫と二人暮らし。一日一日をご機嫌に。

タフラブという快刀 信田さよ子

読了後、スカッと爽快な気分になった。


タフラブという快刀 信田さよ子

信田さよ子さんといえば、数年前まではよくワイドショーなどに出演されていたカウンセラーだ。まずは「タフラブって何?」という説明から始まり、共依存、DV、ひきこもり、不登校など、さまざまな人間関係の“こじれ”について書かれていた。

タフラブ」(tough love)は、日本語では「手放す愛」「見守る愛」などと訳されているそうで、元はアルコール依存症患者の家族や友人の自助グループで使われた言葉なのだそうだ。

アルコール依存症の夫に尽くしてもうまく行かず、思い切って手を放し、勇気を持って見守り始めたところ、酒をやめる夫が現れた。発見したのは自助グループの妻たちだったそうだ。

手放しはするが、突き放したり見捨てたりはしない。「理解し合う」なんていかがわしい。

たとえば父から息子に「お前はお前の考えで生きて行きなさい。その代わり、困ったことがあれば言って欲しい。力になれるかも知れない。これからも応援するから。お前はお前の道を行きなさい。」という態度で接するのがタフラブなのだ。

「私」がいて、隣にも「私」がいる。それぞれ別の「自我」だが、家族や恋人などの親しい間柄では、その境界を超えることで、「私」と「私」の境界が曖昧になる。なので、人と人、とりわけ家族間で人間関係がこじれるのは当然のことなのだそうだ。

問題が生じれば、他人の領域まで踏み込んで行きたくなる。そこで問題を「切り分ける」必要が出てくる。自分の問題なのか、相手の問題なのか?確かに、こじれてる時はそこがスパッと切り分けられなくなっているかも。

きれいに切り分けるにはコツがあり、「こじれやもつれを苦しいと思う側が切り分ける」のが鉄則なのだそう。いろいろな人間関係に応用出来るようで、信田さんが日々カウンセラーとして経験してきた様々なケースが紹介されていた。

「タフに生きることは寂しさと共存すること」とも書いてあったが、自分にとって大切な人たちの自我を尊重し、必要以上に入り込まない、ということなのだろうな、と思う。

親密になりたい、愛情を掛けたい、尽くしたい。そんな思いが行き過ぎてしまうことから、いろんなトラブルが生まれてくる。愛情という名を借りて、人は他者に侵入し、支配する可能性があるのだ。

しっかりとした自我を持ち、スッキリと生きていきたいものである。