TBS系金曜夜10:00からのドラマ「家族狩り」は昨夜が最終回だった。
第9話を見たあとで正直迷った。何しろ重いテーマである。一家心中と見せかけた連続殺人事件。犯人は一体誰なのか?何のために家族を惨殺するのか?残忍で衝撃的なシーンの連続で目を背けたくなるほど。でも、機能不全家族がテーマだし、怖いもの見たさもあるし、恐ろしい事件のその奥にある真実を知りたくもあった。でも、怖くてトラウマになりそうだし・・・と葛藤しつつも見てしまった。
「見て良かった。」と思える最終回だった。一家心中と見せかけた連続殺人事件の全貌が早々に明らかになり、作者がこの作品で伝えたかったことが、登場人物のセリフを通して心にじんわりと染み入ってきた。
読売オンラインに主演の松雪泰子さんのインタビューが載っていた。
松雪泰子さん「家族狩り」
希望のある最後 見届けて出演が決まって撮影に入るまでに、長い原作としっかり向き合った。
「昔からそうなんですけど、キャラクターの声が聞こえ、ビジュアルが見えてくるので、それを捕まえていく作業に入るんです」
過剰なまでの正義感で、児童心理司の仕事に打ち込む主人公・游子。「一歩間違うと罪を犯す側に転じてしまう危うさを内包しつつ、鎧を着けて必死に駆け抜けている女性」をイメージして演じたが、「そのバランスが難しかった」と撮影を振り返る。
介護、児童虐待、家庭内暴力、DVなど様々な社会問題を盛り込み、残忍なシーンも少なくないが、「目をそらさないでほしい」と力を込める。
「楽しいドラマだけを見たい人もいるかもしれませんが、私はあえて、闇に目を向けたい。向き合うことで解決することもあるし、逃げても何も変わらない」。ただのミステリーではなく、「強く生きていく力をくれる作品。最終回、必ず希望が訪れるので、しっかり見届けてほしい」。
このドラマにかけた思いの大きさが、熱のこもった語り口から伝わってきた。(文・田中誠 写真・三浦邦彦)
Q 游子は、何かに取り付かれたように仕事に打ち込みます。嫌な女性にも見えますが。
A 一生懸命さが滑稽だったり、“痛い”感じだったり、に見えればいいのかなと思っていました。うちの息子は、「なんか、いけてない女だね」って言ってました(笑)。
Q ストレスの発散法は。
A 楽しい友人と会って楽しいお酒を飲むとか、割と簡単です。あとは日々、面白いことを見つけて生きるようにしています。人生にはそういうユーモアって大事だなって思います。
Q 今後の目標は。
A いろいろな経験をして、自由度が増しています。すてきな出会いがつながっていくよう生きていきたいなと思いますね。芝居は、日々精進です。現場に向かう時はいつも、始めた頃の気持ちのままです。
家族狩り(TBS系 金曜後10.00)
「家族とは何か」を問う天童荒太原作のミステリー。9月5日の最終回では、犯人に拉致された游子(松雪泰子)の救出と事件解決のため、浚介(伊藤淳史)、馬見原(遠藤憲一)が犯行現場に向かう。
最終回には素敵なセリフがたくさん散りばめられていた。
「体のハンディキャップについては社会的な理解が深まったけれど、心のハンディキャップにはまだまだ鈍感。例えば、他人が大切な人を失くしてしまった時。その後をずっと見守り続けることが全然出来てない。」
「家族間で問題を抱えると、みんなそこで閉じてしまう。本当は開いて行かなきゃいけないと思うんです。弱みを見せたり、弱音を吐いたり、聞いてあげることが大切なんじゃないかな。」
「例えば、『一緒にラーメンを食べに行こう』と約束する。そんな小さなことでもいいと思うんです。人と約束をすることで、そこを目標にして楽しみにして生きていける。」
女子高生・亜衣が巣藤先生に「このメール嬉しかったよ。」と携帯を見せていた。そこには巣藤が亜衣に送ったメールが。「どした?何かあったか?オレで良かったらいつでも話を聞くぞ。」と。
その巣藤も自分の親との関係が悪く20年以上も連絡を取っていないのだ。それが今回のことで久しぶりに会いに行って来たとのこと。
「人は変われる。私もあなたに会えたことで変われたから。」と巣藤に語る氷崎游子。なかなかいいなぁ、このコンビ。
描写は残酷で衝撃的だったけど、底辺に流れるものはあたたかい。ラストシーンで流れる新たな一家心中事件のニュースや、電話を受けるカウンセラーの声など、まだまだ解決しそうもない社会問題が山積してるなあ、と現実に引き戻された。
(記憶をたどって書いているので、細かい表現など違っているかも知れません。)