rosa8719の今日もご機嫌

59才で2回目の乳がんに。息子二人は独立し夫と二人暮らし。一日一日をご機嫌に。

「青い鳥」を観た

中西健二監督の「青い鳥」を観た。

いじめが原因で自殺未遂をした生徒が転校して行った後のクラスの物語。休職した担任に代わって、村内という教師がやって来る。この教師は吃音のためうまく喋ることが出来ない。佇まいも一風変わっている。職員室でもほとんど喋らずいつもひとりで屋上にいる。

村内は、まず、物置に片付けられていた野口君(自殺未遂した少年)の机と椅子を教室に持って来させ、「野口くん、おはよう。」と毎朝声を掛け始める。気味悪がる生徒たちに、「忘れるなんて、卑怯だな。」とゆっくりと語りかける。

「人が本気で話している時は、本気で聴かなければいけないんだ。」
村内の言葉はたどたどしくて、口数も極端に少ないが、徐々に生徒たちの心を掴んでいく。


・あらすじ
東ケ丘中学校2年1組では前学期、野口という男子生徒がいじめによる自殺未遂を起こしていた。野口は家がコンビニのため、“コンビニくん”とあだ名され、店の商品を級友たちに渡していた。遺書にはいじめをしていた3人の名前が記されていたが、公表されなかった。野口は転校し、コンビニは閉店した。そして担任の高橋は休職した。新学期初日。2年1組に、村内(阿部寛)という吃音の臨時教師がやってくる。村内は野口の机を教室に戻し、誰もいない席に声を掛ける。教師たちは事件を解決するため、生徒たちに反省文を書かせていた。それで野口のことを忘れようとしていた生徒たちは、村内の行動に動揺する。村内は毎朝、野口の机に声を掛け続けた。それは生徒だけでなく、ほかの教師や保護者にも波紋を広げていく。生徒の1人、園部真一(本郷奏多)は級友にけしかけられ、1度だけ野口にポテトチップを頼んだことがあった。園部はそのことで深く傷つき、遺書には自分の名前が書かれていたと思い込んでいた。村内が赴任して1ケ月が過ぎたある日、園部は村内に、自分の思いをぶつける。野口はいつもおどけていて、商品を頼まれると嬉しそうに必ず要求以上の品を持ってきたが、実は自分に助けを求めていたのではないか、と。村内は吃音を振り絞るように、人が生きていく上で負うべき責任について語り始める。そして、村内が学校を去る日がやってくる。

「いじめ」という問題に真正面から取り組んだ作品。さすが重松清原作である。

村内の言葉のひとつひとつに重みがあり、逃げずに取り組んでいく姿に心打たれる。「吃音の教師」という設定からしても、(この先生もいじめを受けて生きてきた辛い過去があるのかも知れない。以前、受け持ちの生徒を自殺に追いやってしまった経験があるのかも知れない。)などと想像した。

「いじめ」なんて、未だに解決出来そうにもない問題だと思っていたが、こんな教師が親身になってくれたらもしかして・・・という希望が現実感を持って迫ってきた。

自分がいじめに加担したことを悔やんでいる園部君にも、静かにゆっくりと話す村内。「人にはいろんな人がいるんだよ。先生のようにうまく喋ることが出来ない人、野口くんのように、冗談みたいに笑いながらじゃないと本音を言えない人もいるんだ。」

人が生きていく上で負うべき責任。
どんな人の心も踏みにじってはいけない。

すごく明快である。この作品、レビューの評価がとても高い。本当に良い作品である。

びっくりしたのは主題歌の素晴らしさ。歌っているのは誰?と調べたら、「まきちゃんぐ」という女性だった。「鋼(はがね)の心」「さなぎ」どちらもとても良い曲。なぜ有名にならないのか不思議なくらい。