rosa8719の今日もご機嫌

59才で2回目の乳がんに。息子二人は独立し夫と二人暮らし。一日一日をご機嫌に。

「神様のカルテ」を見た

二男が借りてきてくれた、「神様のカルテ」を見た。
現役医師・夏川草介氏のデビュー作で、2010年本屋大賞第2位となったベストセラーを映画化した作品。少し前の日本アカデミー賞でもノミネートされていた作品である。

映画が始まってすぐ、主役の医師・栗原一止(くりはらいちと)を演じる櫻井翔クンの変貌ぶりにびっくり。髪の毛は天パーでクリンクリン。ちょっとボーッとした感じの変わり者。すごくキレる感じとか、すごく熱い感じとか、すごく良い人っぽい、とか、そういうのが全然ない。なので、肩透かしを食らったような気分になる。このセンセイ、大丈夫?と思っちゃうくらいだが、医者としての腕は確かなようだ。

あらすじ(ネタバレあり)

美しい自然に囲まれた信州の一地方都市・松本。勤務5年目の青年内科医・栗原一止(櫻井翔)は、医師が不足しながらも“24時間、365日対応”で大勢の患者を抱える本庄病院に勤めている。

この小さな病院では専門外の診療をしたり、働き詰めで睡眠が取れなかったりすることが日常茶飯事。
それでも一止は、クールな先輩外科医・砂山次郎(要潤)、有能で美人の救急外来看護師長・外村静枝(吉瀬美智子)、同期の冷静沈着な病棟主任看護師・東西直美(池脇千鶴)、新人看護師・水無陽子(朝倉あき)、曲者上司・貫田誠太郎(柄本明)らと共に厳しい地方医療の現実と向き合いながら、同じアパート“御嶽荘”に住む大家兼絵の描けない画家・男爵(原田泰造)、博学な大学生・学士(岡田義徳)との語らい、そして何よりも最愛の妻・榛名(宮崎あおい)との心温まるひとときに日々の疲れを癒しながら激務を凌いでいた。

そんな折、一止は母校の医局を通じ大学病院に勤めないかと誘われる。「良い医者」になる為の最先端医療が学べる医局。しかし、一止の前には本庄病院にやってくる大勢の患者がいる。

悩む一止だったが、ある日、彼の前に大学病院から「あとは好きなことをして過ごして下さい」と見放された末期ガン患者・安曇雪乃(加賀まりこ)が現れる。

もう医学ではどうしようもない安曇であったが、何故か一止を頼ってやってきた。そんな彼女と触れ合う中で一止は、命を救うこととは、人を救うということとは、という医者としての在り方、人間としての在り方を見つめ直していく。

一に止まると書いて「正しい」と読むその名の通り、一止は惑い苦悩した時こそきちんと立ち止まって考える。そして、一止はまた歩き始めるためにある決断を下す……。

胆嚢癌の末期患者・安曇雪乃が一止の元へやってくる。「余命半年。もう治療の手立てがありません。好きなことをして過ごしてください。」と、大学病院から見放された患者だ。夫亡き後、たったひとりで生きてきて、ようやくそんな生活に慣れてきた所だったのに。

一止の激務ぶりがものすごくリアルに感じられた。レビューを読むと賛否両論だが、私も二男も大変さがリアルに伝わってきて、切なくなったほどだった。お医者さんの世界って大変だ。

リアル乳がん患者としては、末期で治療法もなくなったら、最後は一止先生のような医者に看取られたいな、と切実に思った。患者の安曇さんとの最後の最後が、胸にズーンと迫ってきて、感動した。

一止の妻・ハル役の宮崎あおいがすごくいい。これはきっと、男性から見た理想の妻像なのだろうな、と思った。一年目の結婚記念日を忘れていても怒りもせず(というか、山岳写真家なので自分も撮影に出掛けていた)、重症患者がいると一週間も病院にカンヅメになって帰らない一止に文句を言うこともない。だけど、いつも気にかけていたり、心配していたり。静かに優しく見守っている。普通の女性なら、間違いなくキーッとなってしまうと思う。この妻の存在が癒しになって、支えられているのだろう。

原作も読んでみたくなった。三作目まで発表されているようで、これがとても評判良いらしい。苦悩しながら、迷いながら。そこがとっても人間らしくていいな、と思った。