rosa8719の今日もご機嫌

59才で2回目の乳がんに。息子二人は独立し夫と二人暮らし。一日一日をご機嫌に。

「家政婦のミタ」をみた

「最後の業務命令です。三田さん、笑ってください。」「承知しました。」
恵一のことばにまばたきしてから、ゆっくりと微笑んだ三田。

松嶋菜々子ってすごい女優だな〜、と思った。全編、無表情に演じてきたのに、この場面での輝くような笑顔!!さすがである。圧倒されるような美しさだ。

松嶋菜々子NHK朝のテレビ小説・ひまわりで新人女性弁護士役を演じてデビュー。フジテレビの「やまとなでしこ」ではスッチー役で一世を風靡したし、「GTO」で共演した反町隆史と結婚して、そういえば「救命病棟」では救急医役も演じていた。どんな役を演じても本人そのものっぽい役者が多い中で、今回、三田灯をしっかり演じきった演技力は素晴らしいと思う。

家政婦のミタ・名言集

ここまで壮絶な過去を抱えて生きている主人公というのも珍しい。「父親の不倫に苦しんで母親が自殺した阿須田家」という設定も、今までのドラマだったら踏み込まなかったような領域だ。

どんなに壮絶な過去があっても、大変な問題を抱えていても、とにかく人は生きていかなくちゃいけないのだ。「過去と再生をテーマにしたドラマ」ということだが、現実的に問題に立ち向かって行こうとするところが、多くの視聴者の共感を呼んだのだと思う。

父親の恵一は部下との不倫が原因で妻を自殺に追いやったのに、「結ができちゃったから仕方なく結婚した。本当に愛していたかどうかもわからない。」などと言うし、そんなことの後でも不倫相手とよりを戻そうとして振られるし。なかなか情けないキャラクターである。

妻の妹・うららと結婚することになり、うららがキャンセルした式場で見合い相手と会うシーン。

「あたし、どうしてこんなババみたいな人を好きになっちゃったんだろう。結ちゃんたちと、これからもずっと一緒にいたいだけなんだよね。あの子達と縁が切れるのがどうしてもイヤだったの!」
と、うららが言って、恵一が(えっ?)という顔をする場面がある。さすがに最後まで“情けない男”として描かれていた。うららは、“自分がババをひくことでみんなを災厄から守っている”という存在なのだ。

子役4人の演技も素晴らしい。三田灯が微笑む場面、4人のセリフはすべてアドリブだったそうだ。親たちの情けなさを子供たちの素晴らしさでしっかりカバーしていたようだ。

大変な災難に直面したとき、どう生きていくか。

「前世からのカルマを今世で清算した」とか「神が試練を与えた」とか「色情因縁がナンタラカンタラ」とか、そんなことはどうでも良いのだ。現実的に生きていくことの方がずっと大事なんだから。

私が癌になったことだって、「癌は業病」とか「前世からのナンタラカンタラ」等々いう人もいるようだけど、そんなことじゃないように思うのだ。

心に大きなトラウマを抱えた人の再生はそんなに簡単じゃないけれど、温かい絆を感じることで癒されることも多いのだろう。

三田灯がきいちゃんと別れるシーン。きいちゃんに手紙を渡すところがとっても感動的だった。そして、最後のシーンで、新しい派遣先の家庭に向かった所で、三田がきいちゃんからもらった石を見つめるシーン。“絆”を感じる場面だった。

大変な話をたくさん見聞きしたこの1年。このドラマから“再生へのエネルギー”みたいなものが感じられて、明るい兆しが見えてきたような気がする。